光入力/失敗

大気がない

出席番号8

床を踏み抜いてしまったから落ちないように歩く気をつけていればそれでいいんだだってもう前には進まないから壁に凭れてだらんと垂れたうで よくできました 地球儀を回してそれでいて退屈な休日 黃、黃、青、赤、赤 車を見送る車内の恋人であろう男女幸せだ…

ぼくのなかに家があるそこではどこかの家族が犬といっしょに暮らしているぼくの気のせいでなければたった今、犬が亡くなった ひとつの箱へぼくはぼくを捨てる 拾ってください。 どこかの家族へ拾われる 家のなかしんだはずの犬がいるかなしいことにどうやら…

フィクション

住宅街をゆくひとの声がないかわりにきこえてくる調律狂いのピアノ割れたリコーダー あかぎれのゆび奏でる鍵盤たたく少女は少女のなかで画面に見切れた自分の姿を見つめるあれたくちびる奏でる神経質なほそいゆび動かし吐息もれる少年は少年のなかで画面いっ…

リリカル・プラザ

自分がどうして薬を処方されているのかわからなくなるときがある。わたしは健康だったし、いつも笑っていた。わたしがわたしである以上、他人がいてもおかしくはない。でも、対人ってこわいよね。接客っていつも丁寧だけど、そんなことありえなくて、厨房で…

リズム・ゲーム

うきあがる壁紙のなかポップソングばかり聴こえてくるすこしかなしくなって、床に横たえた身体を起こす 排水溝へ流した飲料水はひかりよりも透き通っていた蹴り飛ばした空き缶を追いかけひとり帰り道をゆくあらゆることを回想して、一枚の絵を見つめる空白が…

失敗

現実にいる絵のなかから消えた人思い出せないまま痩せるくらい顔わざと転びそうなふりをしてどうして笑ったのかわからなくなる 不確かな相槌を打つぼくはもう何もしない他人に厳しく接することといつも優しく接することの両極端はもうたくさん お化け屋敷は…

入力/

声は音の波ふるえながら軸がぶれるんだ強くなりなさい、本当にそう思う。あらゆることを朝までに忘れることで歯を磨くことができるぼくの正面に佇む人影やめてくれない べたつく靴下を気にするほどあしたが嫌いなわけじゃない数字上の会話をかき消して大きな…

家路はすれ違う人々の、何気ない仕草へ意味をあたえる。 気持ちがいいね ぼくは瞳のなかへ溶け込んで鏡面に出欠確認の合図窓を叩く翼を欠いた鳥の群れ蟋蟀は鼓膜の表面で眠るくらい階段を登って花壇に乳歯を埋めたらさびた釘は拳のなかへぼくを見下ろすあか…