現実にいる
絵のなかから消えた人
思い出せないまま
痩せるくらい顔
わざと転びそうなふりをして
どうして笑ったのかわからなくなる
不確かな相槌を打つ
ぼくはもう何もしない
他人に厳しく接することと
いつも優しく接することの
両極端はもうたくさん
お化け屋敷はこわい。
だからもうこわくない、
ぼくは話を聞かない
送風機を下から持って、
ぜんぶ吹き飛ばしたら
お湯のなかで
あらゆる疲れを思い出す
密室と密室の関係
気泡と気泡の関係
細胞と細胞の関係
しくみを教わる、再び手であらわす
手が好きで、よく見た、その指毛
砂浜と家族を描く
白い紙へ塗り潰された肉色
ぼくの知る家族は
砂浜でした